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南アルプス 小渋川敗退




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南アルプスの赤石岳や荒川岳へ登るルートとして、東からは椹島や二軒小屋から入って千枚岳経由あるいは赤石小屋経由で行く方法と、北からは鳥倉から入り三伏峠経由で行く方法、南からは大沢岳方向から行く方法があります。それともう一つ西から小渋川沿いに入り、大聖寺平へ出る方法があります。
西日本側から赤石岳や荒川岳をピンポイントで登るには、この西から入れる小渋ルートはもっとも魅力的に見えます。行程時間は長いですが、それでも他のルートよりは短時間で赤石岳と荒川岳に辿り着くことができますし、最悪の場合でも、途中に避難小屋の広河原小屋があります。 ただ、昭文社の登山地図では赤点線のバリエーションルート扱いになっていて、インターネット上でも、20回もの深い渡渉が必要になるという情報があります。そうした情報を見ていると深いといってもせいぜい股下までという話なので、ザックも水にかからないレベルですから、なんとか行けそうな気がします。
渡渉用に水着と不要になった運動靴を用意して、赤石岳や荒川岳はこのルートから入る方法を採用することにしました。

最初、2010年7月17日に行きましたが、豪雨の後で水は茶色の濁流になっていました。その日はあきらめて行き先を塩見岳に変更しています。
2度目は、ひと月後の2010年8月19日に行きました。天候は完全な晴れです。

7月に行ったときは林道が荒川荘のところで通行止めになっていて、そこから歩いて入っています。その時は、途中、何度も斜面が崩落しているところがあり、車が通行できるような状態ではありませんでした。今回は、立入禁止の表示こそありましたが、実際には車を乗り入れることが可能になっていて、土砂で埋まっていた林道もすべてきれいに片付けられていました。それで湯折のゲートまで車で入ることができました。
行程が長いのでまだ薄暗い早朝5時に出発しました。写真は明るさを調整しています。

登山口には渡渉が必要なことが書かれています。

駐車場のゲートを越えて、その先の林道を歩いていきます。

途中に小渋湯と書かれたところがあります。

横にホースが出ていたので、ここから温泉が出てくるのかもしれませんが、枯れているようです。

トンネルがあります。
中は真っ暗ですが、ヘッドランプなしでも先の明かりを頼りになんとか行けます。

橋に来ました。
ここまで30分かかりました。

橋を渡り河原の横の林道のようなところを歩いていきます。
途中、右にそれていくトンネルには入りません。
次第に林道のような道も形が崩れてきて、河原歩きに変わります。

棒沢との合流点が広くなっていて、その先から渡渉が始まります。
ここで登山靴を片づけて用意してきた渡渉用の運動靴に履き替えます。
最初は棒沢を流れる川の渡渉ですが、これは登山靴でも渡れるぐらいでほとんど問題ありません。

その先からは小渋川の渡渉となります。
左岸から右岸へ、右岸から左岸へと何度も川を渡ります。
岸辺を行ったり来たりして渡れる場所を探し、ストックで深さを調べながら慎重に渡っていきます。
流れが速い部分と遅い部分があり、速いところでは体が強く押し流されそうになります。
次の一歩を慎重に選ばないと、胸の高さまで嵌るようなところもあり、下手をすると流されてしまいそうです。
水中の岩の上は水流に逆らえるほどグリップを得られません。

6回程渡渉したところで、次はどこを探しても渡れるようなところが見当たらなくなりました。
毎回渡渉のたびに渡れる場所を探すのに時間がかかります。
すでに服は胸のあたりまで濡れていて、冷たい水による寒さで震えが出てきました。
強引に突破したとしても、この先繰り返し苦労を強いられる可能性があり、それだけに撤退も決断しづらくなってきます。
沢の岩の上をウロウロしているうちに、右足のアキレス腱の部分や、左足の脹脛にいつの間にか擦り傷ができて血が出ていました。
実はこの日の一週間前の8月12日には、まさにこのルートの小渋川に流されて遺体で発見された人がいます。
しばらく朝食のサンドイッチを食べながら落ち着いて考えた後、撤退を決断しました。
渡った場所の両岸に目印の石を置いておいたので、帰り道の渡渉ポイントを見つけるのは簡単でした。

8月のこの時期でも、たまたま水量が多かったのだと思われます。
完全に濡れてもよい沢装備であれば突破できるかもしれませんが、そうした準備がないと、行けるかどうかは運次第ということになってしまうようです。
アテにならないので、次回、赤石岳と荒川岳に挑戦する際は他の方法を検討することになりそうです。
この後、プランBとして考えていた鳳凰三山に向かうことになりました。



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